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――コタロウ……?
彼女の見つめる方に目を向けると、キッチンカーから今度は男性が降りてくる。
それはまた、彫刻のような美形で背の高い、モデルのような男だった。
コックコートを身にまとっている。
手には――先ほどと全く同じ、パンケーキのタワーが抱えられていた。
「重っ……。クソ重いなこれ。食い物の感想に重いっておかしいだろ。なあ」
「はやく」
「っとにお前の胃袋どうなってんだよ」
コタロウと呼ばれた美形の男は、その顔には似合わないとんでもなく下品な口調で、パンケーキを渡す。
するとまた、彼女は躊躇いもなくそれにフォークを突き刺した。
衣美はフードファイトの番組を何度か見たことがあるけれど、
目の前の光景は、そんなものとは到底次元が違っている。
ひと口の大きさにしても、スピードにしても、勿論量にしても。
やがてまた3分程度で皿は空になり、彼女は大きく息を吐いた。
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