MENU1:砂糖を憎む姉、砂糖を夢見る妹。

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* 「虎太郎さん、これ4個目だよ。今月」 「だな」  更に南へ向かって走るランチカーの運転席で、 虎太郎はからかうように笑う。 ことりの手には、山のように大きなモンブラン。 誕生日おめでとうと書かれたプレート付きだ。 「栗が旨い季節だしなぁ。なんでお前の名前、栗子にしなかったんだろうな?」 「今、栗がおいしい季節なの?」 「おいおい。お前本当に何も知らねえんだな。 つーか、あのフォーク置いて来て良かったのかよ。お前の愛用じゃねえか。新しいやつ買って行くか?」 「いい。衣美の方が、必要だから。それに私にはまだコレがあるし」  ことりはそう言うと、モンブランの頂点にサーバースプーンを突き立てた。 「もはや掘削工事だな」 「あ。栗がまるごと入ってる」 「旨いぞ。和栗だ」 「虎太郎さんも食べる?」 「は!?いや待て、こと……!」  再び顔中クリームまみれになった虎太郎。  車内には、ことりの笑い声が響く。 「虎太郎さん、ありがとう」 「バーカ」  虎太郎の穏やかな笑い声も、それに重なった。 MENU1:おわり
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