魔導書

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「え……」 「マナ、注入完了。ではこれより、召喚魔法を執り行う」  そして一言、カザンは告げた。 【抽出(ディスティル)】  途端、魔方円の輝きが無色透明から、青いものへと変化する。  さらに、最初は蛍の光程度の微かなものだったそれは、一気に蛍光灯並みの力強いものになり――その光が上方へと、伸び始めた。  フィリアの心臓の音が高まる。  胸を押さえ、身を乗り出して見つめる。  その光は、質感さえ感じさせてにょきにょきと伸びていく。  暗かった室内が、光の帯により明るく照らし出されていく。  二人の影が、その光の上に覆いかぶさる。  わあ、すごい。  光の上に影がのってる。普通だったら光の方が消えるのに!  そんな風にフィリアが喜んでいる中、ついにその青白い光は天井まで届き――  砕け散った。
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