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「ヒッ――む、むむむむりですよカザン先生っ。見てくださいアレ! 前傾姿勢ですよ、前傾姿勢っ!」
「ああ、そうだな。ミノタールスがあの姿勢をとった時は、主に威嚇及び攻撃への準備段階と言われ――」
「のんびり解析、解説してる場合じゃないですよ! それ、ヤバイじゃな」いですか、と言おうとして、フィリアがぐるんとカザンの方を振り向いた瞬間。
カザンの首が高速で振り回された斧によって、吹き飛ばされた。
フィリアは文字通り、言葉を失った。
ただ呆然と、カザンの首が"あった"ところを見つめている。
今しがた自分と話し、一般常識とかけ離れた危機感のないことを喋って自分にツッコまれようとしていたそれは、もはや無い。
自分を見ていた目も、息をしていた鼻も、言葉を聴いていた耳も、話していた口も、無い。
あるのはただ、桃色の肉と赤い血管と白い骨が剥き出しの、切断面。
足元に感触を感じた。
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