魔導書

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 一瞬、フィリアの息が詰まる。  急転直下で変わるのがこの人の反応とはいえ、これはなかなか慣れるものじゃないよなぁ……と、自分を落ち着かせるために一つ深呼吸をする。 「……だから、例の魔導書が見つかったんですよ。探せって言われてた、召喚の――」 「ぃよしっ、やるかっ!」 「わっ」  突然カザンが拳を握りながら立ち上がったので、フィリアは意表をつかれて声を上げた。  あいっかわらずこの先生のリアクションって、唐突だよなぁ…… 「……って、何をやるんですか?」 「決まってるじゃないか?」  不気味な室内にまったく似合わない爽やかな笑顔を作り、カザンは親指を立てた。  フィリアはそのリアクションに冷や汗を流す。  ……まさか、 「召喚の儀式だ」 †
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