魔導書

8/19
前へ
/260ページ
次へ
 礼拝堂の長椅子の間にある通路を突き当たりまで進み、右手に置かれているパイプオルガンの裏にある階段を降りて第一大図書館に入り、その右から二番目、後ろから三番目の本棚の、一部の本棚に似せて作られた隠し扉を開けてそこから続く螺旋階段を下りたところに、それはあった。  どこまで奥に続いているのか、横幅はどこまであるのか。  それをまるで隠すかのように空間すべてを包み込む、深い暗闇。  その無限空間の中で、まるで落し穴のように白い影を残している、天井のシャンデリアに棲む6本の蝋燭。  その真下に浮かび上がる、二重円の間に六芒星を配した、魔法円。  そしてその中心に立つ、二つの黒い影。  一つは長身痩躯で身の丈は180を越えており、もう一つはその肩口ほどまでしかない。  最初の影は愉しそうに口元を歪めており、もう一方は憂鬱そうに俯いていた。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加