そもそもは

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「久しぶりだな、優」 「よう、静也。元気か?」 「あぁ」 俺、成田 静也が玄関のドアを開けながらそう言うと、髪を茶色に染めた端正な顔立ちをした男、高田 優は片手を挙げてそう返す。 優は俺の従兄弟で、昔から遊んでもらっていたということもあるが、お互い呼び捨てで呼ぶくらいの仲だ。 「相変わらず、この家でけぇよなぁ……」 「優の家も相当だろ」 「まぁな」 互いに軽口を叩きながら、俺の部屋に向かう。 一度リビングに通してから、というのが普通なのだろうが、このまま俺の部屋に向かうのには理由がある。 俺が住んでいるこの家には、安全の為に個人の私室以外には監視カメラが設置されている。これを見るのは基本的に成田家専属の守衛くらいなのだが、見ようと思えば雇い主である俺の親が見れない筈はない。 つまり親に聞かれてはマズい話をするには、俺の部屋でするくらいしかないのだ。 いや、別に疚しい話をするわけではないが。 誰にという訳でもない弁解をしつつ、俺は自室のドアを開けて中に入る。
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