1479人が本棚に入れています
本棚に追加
「久しぶりだな、優」
「よう、静也。元気か?」
「あぁ」
俺、成田 静也が玄関のドアを開けながらそう言うと、髪を茶色に染めた端正な顔立ちをした男、高田 優は片手を挙げてそう返す。
優は俺の従兄弟で、昔から遊んでもらっていたということもあるが、お互い呼び捨てで呼ぶくらいの仲だ。
「相変わらず、この家でけぇよなぁ……」
「優の家も相当だろ」
「まぁな」
互いに軽口を叩きながら、俺の部屋に向かう。
一度リビングに通してから、というのが普通なのだろうが、このまま俺の部屋に向かうのには理由がある。
俺が住んでいるこの家には、安全の為に個人の私室以外には監視カメラが設置されている。これを見るのは基本的に成田家専属の守衛くらいなのだが、見ようと思えば雇い主である俺の親が見れない筈はない。
つまり親に聞かれてはマズい話をするには、俺の部屋でするくらいしかないのだ。
いや、別に疚しい話をするわけではないが。
誰にという訳でもない弁解をしつつ、俺は自室のドアを開けて中に入る。
最初のコメントを投稿しよう!