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「どういう意味だ?」
「いやさ、今は正直打つ手がないだろ?」
「まぁな」
悔しいが優の言う通りだ。さっき改めて考えたが、どの案も上手くいく可能性は低い。
俺は苦々しい表情を浮かべてそう呟く。
「で、だ。一つ俺に案がある」
「……本当か?」
そう簡単に案が見つかったらこんなに苦労してないと半信半疑で優の方を見ると、優はニッと笑って頷き、こちらに向き直る。
「けどな、この案はお前の両親を失望させることになるだろうし、お前の弟である海にも迷惑をかけることにもなる。それにお前自身も相当苦労するはずだ」
「さらにそこまでしたとしても成功するかどうか、確率は半々。正直実行するにはかなり分が悪い」
「だからお前がそれを背負ってまでやる覚悟がないなら、この案はお前に伝えない」
優は何時もの飄々とした態度は変えないものの、俺を見る眼には此方の覚悟を試す様な威圧が含まれている。
だが、これに怯むようではまず優の言う案を実行するなんて無理だろう。
「問題ない。その案を聞かせてくれ」
それに、覚悟なんてとうの昔に決めている。
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