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「どうだ?」
考え込んでいた俺に、優は悪戯っぽい笑みを浮かべてそう訊ねる。
「確かに以外といけそうだが……なんとも言えないな、この作戦」
「どこらへんが?」
「なんというかこんなんでいいのか、というか」
「まぁ、そこらへんは提案した俺も自覚してるが、とりあえずやるってことで良いんだな?」
「何を今更」
この案を話す前にあれだけ言われたのだから覚悟に関してはもちろん、成功率が高そうな以上どんなにアレな案でもやらないという選択肢はない。
「よし。じゃあ先ずは海を取り込むことからだな」
「え?」
優は椅子の背凭れに寄りかかっていた身体起こし、パンと手を叩いてそう俺に告げる。
が、俺にとっては予想外の内容だったため、思わず驚きの声が漏れる。
「えってなんだよ。流石に一人じゃボロが出やすいだろ」
「いや、てっきり俺は海にも内緒にするんだと思ったんだが」
「それでも悪くはないが……。静也が家族の中で普段一番多く接しているのは海だろ?だとしたら一番お前の演技を見抜く可能性が高いのは海だ」
「確かにそうだな」
「だったら海もこっちに引き込んじまえばいい」
言っていることは筋が通っているのだが、どうにも何かがしっくりこない。
しかし、俺を騙そうという気配もないので、内心首を傾げながらも、二つ目の問題点を挙げる。
「俺が考古学者になりたくてやってるってことを海が親父に言ったら不味くないか?」
「それは大丈夫だ」
「根拠は?」
「俺の勘」
全く答えになっていない返答に俺がそう返すと、優はキリッとした顔でそう言う。
これ俺に伝える気ないな。
まぁ、優がそう言うんだったら多分大丈夫なのだろう。こうなったらまともに聞き出そうとするだけ無駄だ。潔く優を信じてみよう。
……信じてもいい、んだよな?
「ってな訳でどういう方向性に持っていくかだが……」
その日はこの案の全体像と海にどう説明するかを話し合って終わった。
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