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「お静かにお願いいたします」
司会の生徒が静かにするよう促すが、1度騒がしくなった場の雰囲気は中々変えられない。
司会の生徒は諦めたのか、そのまま進める。
「生徒会長は壇上へお願いいたします」
生徒会長と呼ばれた人物は壇上へ上がる。
と、一瞬にして会場が静まり返った。
もちろん壇上に人が上がったら静かにするのは当然なのだが、それよりも何故か静かにしなければならない雰囲気があった。
そして生徒会長はこちらを向き、話し始める。
「生徒会長の成田静也だ」
「新入生の諸君、先ずは入学おめでとうと言っておく。しかし入学がゴールというわけではないというのは言わなくても分かると思う。ここで努力をするのを止めずに、これからも各々の目標へ向かって努力していってほしい」
話し終えると軽く礼をして壇上から降りる。
そして生徒会長の姿が見えなくなった途端、場は息を吹き返したようにまた騒がしくなる。
「意外とまともな挨拶じゃないか」
「いや、この式には生徒の親も来ているからな。今回だけまともな挨拶しただけだろう」
「俺、兄から聞いたんだが、今の挨拶は全部他の人が書いたらしいぜ」
「やはり出来損ないか」
僕はというと驚き過ぎて声がでなかった。
何故なら生徒会長と呼ばれていた人は、僕をここまで案内してくれた人と同一人物だったからだ。
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