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以前来たときと、さほど変わっていなかったのだ。自炊とは無縁だと主張するように調理器具の置かれていない小さなキッチンはいいとして、部屋の壁に貼ってあるアニメ絵のポスターが、キャラが変わっているだけで相変わらず強い存在感を示していた。こうなるとふすまの向こうのもう一つの部屋も同じような感じではなかろうか、と想像した。
「外は寒かったでしょ? 熱いお茶でもいれるから」
敬一はコートを脱ぐ。エアコンの効き具合がよくないが、コートを着たままというわけにもいかない。すきま風が入ってくるし、コタツもないから、手足を温めることもできない。
「ここへ来てくれるのも、久しぶりだね」
しかし明二は寒そうでもなく、様子は以前とずいぶん違っていた。電話で話したときにも感じていたが、心も健康そうだ。太っていた外見もすっかり痩せて、見違えた。
ポットでいれたお茶を座卓に二つおく。湯気を立てるタンブラーは、企業ロゴが入ったプロモーション・ノベルティだ。
熱いお茶をすすると、体が温まった。
座卓を挟んですわり、レジ袋から中身を取り出す。缶ビールを開けて、とりあえず乾杯。
「カノジョって、どんな人なんだ?」
敬一は単刀直入に訊いた。兄弟だから野暮なことでも遠慮はなかった。
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