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借りて来てくれたDVDは、全部、弟が見たことのある作品ばかりで、その際に予告も見たが、ホラー作品の紹介などなかったというのだ。
それを聞いても食い下がれず、俺は自分の飲みた予告映像をさらに詳しく説明した。と、弟の表情が変わった。
「あれ、何かその話…」
続いた言葉こうだった。
映画とかに興味のない俺はまったく知らなかったが、何年か前、インターネットで取り沙汰された話題作があったらしい。
どこかの大学生達が作った素人映画だか、心理的な怖さを描いたホラー作品は映画好きの間で瞬く間に話題となった。だが、後になって、リアリティを追求するあまり、作中の殺人シーンは、実際人を殺した場面を撮影したものだという話が関係者から公表され、以降、この映画の配信画像は総て削除。当事者達も全員行方不明だそうだ。
「その後も、その映画には色んな噂がついて回ってて、その中の一つが、『予告サイズに編集された映像が、まったく関係のないDVDの予告画面で流れる』
っていうのがあるって、前に聞いたことがある」
…つまり俺は、その、都市伝説みたいな映像を目にしたってことか?
「こいつの予告に紛れてたのか。でも、ないし…あーあ。俺もその映像、見たかったな」
隣でリモコンを操りながら、残念そうに弟がそうぼやく。その横でぐったりと肩を落とし、俺は、弟から奪い取ったリモコンでTVを消した。
予告映画…完
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