――プロローグ――

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 幼稚園の頃、外で遊んで帰ってくると玄関にあった1枚の絵。  その絵がなんなのかは解らなかったが、俺はいつもその絵を見ていた。  絵の内容は――  3人のオバサンが何かを拾っているんだろうか?  左手に見えるオバサンは緑色の帽子に茶色い作業着で大きく腰を曲げている。  中央のオバサンはピンクの帽子に白い作業着、やっぱり腰を大きく曲げていた。  右側手前の人はほぼ直立でこちらに背を向けている。水色の作業着に黄土色の帽子。  顔は3人ともはっきりは見えないから表情は解らない。  微かにその作業を見守る監視員の姿も見えた。  ――人物画というよりは風景画に近い記憶がある。毎日見てたはずなのに、薄らとぼやけた記憶。 「じーちゃん。これなんのえ?」 「わしは絵に詳しくないから何の絵だかは解らんが、お前の母さんが買ってきた絵だ」 「かーちゃんのえ?」 「母さんが描いた絵じゃない。有名な画家の複製品(レプリカ)だろう」 「れぷりか?」 「世の中にいっぱいあるってことさ」
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