――プロローグ――

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 亡くなった母方の祖父は、そんな説明をしていたが、俺は未だにその「母さんの絵」の複製品に出会ったことはない。  もっとも、美術に興味のない俺が探すはずもないから当然といえば当然なんだが……。  当然とは別に、偶然ってヤツがこの世の中にはある。  その偶然が重なると人はどのような反応を示すのか?  この話は偶然に再会した俺とあの人を中心に回っていく事件簿。  と言っても、そんな大げさな事件は起きないが……。  世の中を変えてしまうような殺人や戦争やテロとかそんな大事な話じゃない。  でも、俺達にとっては大事な事件だったし、アレがあったからみんなと出会えたって思わなくもない。本当に大事なのはそっちなのかもな? それを含めて偶然だというなら、世の中ってそういう風にできているんだろう。
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