第2話 ありのままに

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手近にあった服を素早く着つつ、俺は梛音に視線でお伺いを立てる。 返事はマッハで帰ってきた。 「えー、憐の手料理がいいよ。何でもいいからさ~、作ってよ、ねぇ。」 以前の俺ならこんな我が儘には呆れていただろうな……。 しかし今は満更でも無かった。 「ほんとに有り合わせしか出来ないぞ。いいのか?」 「うんっ」 ほら梛音の嬉しそうな声を聞くだけで、俺らしくなく、口が緩んでしまう。 俺はざっと冷蔵庫の中を確認する。 メニューは出汁巻き玉子と味噌汁とサラダってとこか、と手早く支度を始めた。 背後に梛音の視線を感じる。 嬉しいような、それでいてむず痒いのような不思議な感覚だった。 そろそろ、朝食の準備も終盤を迎えた頃、梛音の叫ぶ声が部屋を木霊した。 「ああ~っ、今日は絶対に落とせない授業があるんだった~。」
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