blue sky ~君と見る空~

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ツーコーラス目―― 彼女はカメラに向かって指を指した。 『あなたに守られてここまで来ました。 あなたが私を、いつも忘れないでいてくれたから。 遠くても。 会えなくても。 空を見上げてあなたを想った。 この空の下にあなたがいる。 この空の下に私がいる。 そして、繋がっている、と…』 『あなたはいつも、精一杯の想いを伝えてくれました。 私が独りにならないように。 私が俯かないように』 『明日を信じる事は、あなたを信じる事でした。 あなたを信じる事は、未来を夢見る事でした。 これからもずっと傍にいて、同じ時間を歩いて行きたい』 『愛しています』 『私はあなたを、心から愛しています』 彼女が微笑んだ。 カメラを見つめたまま、天使のように微笑んだ。 ラストのピアノの旋律が余韻を残しつつ、終わった。 OKの声もカットの声もかからなかった。 ガタッ! 立ち上がった大和がテラスを下りた。 そのまま彼女に向かって真っ直ぐに歩いて行く。 「OK!」 野村がようやく言葉を発した。 「これ以上のものは無い」 岸にいる5人にも、ヘッドホンを介して亜季の言葉が伝わっていた。 山原は、シャツの袖で顔を拭いながら静かに小舟を手繰り寄せ、静は涙を見られまいと、そっぽを向いたまま大和の肩を叩いた。 カメラを下ろし、半分泣きながらも笑顔を見せる北川。 航は無言で大和に頷き、亜季の言葉を英訳した海里の声をヘッドホンで聴いていたロバートは、これでもかと言わんばかりのアクションで大和をハグし、十字を切って天を仰いだ。
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