第1章

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柚乃ちゃんが私にしがみついた 「大丈夫だよ…怖くないからね…」 おばあちゃんの言う通り 柚乃ちゃんは泣き叫んだり 暴れたりしない…じっと我慢している 少しずつかき出してだいぶ出た頃 「ママ…おわり…」 柚乃ちゃんが言った お腹を触るとさっきの硬さがなくなっている 「そうだね…おわりにしようね… 柚乃ちゃん、頑張ったね…」 お尻を拭いて洋服を直してあげると 「いちご…」 「そうだ!買いに行こう…柚乃ちゃん歩ける?」 柚乃ちゃんは頷いた 「じゃ、お片づけするから少しだけ待っててね」 柚乃ちゃんはじっと私の作業を見ている そして片付け終わった私に 「どーも…」 「柚乃ちゃん…いいえ、どういたしまして…」 私は柚乃ちゃんと手を繋ぎ廊下に出た 「優愛先生、かわいい子ね…」 「でしょ、ちょっとだけスーパーに行ってくるね」 「行ってらっしゃい!」 私は病院から5分ほどのスーパーに向かった 柚乃ちゃんの歩き方がおかしい 「柚乃ちゃん、お尻痛い?」 何も言わず頷いた 私は抱き上げ「ごめんね…気付かなくて…」 「ママ…」 「柚乃ちゃん…ママじゃないんだよ… ゆ・う・あ…」 「ゆ・あ…」 「そう…」 「ゆあ…ママ…」 「フフ…どうしてもママになっちゃうね…」 「いちご…」 「もうすぐだよ…」 私達はスーパーでいちごを買って病院に戻った さっと洗ったいちごをのせたお皿を 柚乃ちゃんの前に出すと 「どーぞ…」 ひとつつまんで私にとってくれた 「柚乃ちゃん…ありがとう パパが帰って来るまでここで待てるかな?」 柚乃ちゃんは私にしがみつき頷いた 「おりこうだね…柚乃ちゃんお昼寝しようか?」 「ゆ…あ…ママも…」 「うん…一緒にね…」 仮眠室に行きベッドに柚乃ちゃんを寝かせ ナースセンターに電話した 「お疲れ様です、鈴木です… ちっちゃな患者さんと仮眠室にいます 何かあったら呼んでください…」 『お疲れ様です…院長先生から聞いてます 急患対応で戻れないかもって…』 「そう…ごめんなさいね…じゃ、お願いします」 電話を切って柚乃ちゃんの隣に行くと 私にぴったりくっついてきた 「柚乃ちゃん、さぁねんねしようね…」 柚乃ちゃんは頷いて目を瞑った 私は小さい頃パパとお昼寝する時 お尻をトントンと優しく叩いてもらったのを 思い出した
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