第1章

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不安そうな顔の柚乃ちゃん… 「柚乃ちゃん、フォークで食べるの上手ね 誰に教えてもらったの?」 ニッコリ笑って 「パパ…」 「そう…柚乃ちゃんはパパが大好きなんだね…」 「だいちゅき…」 「きっと優しいパパなんだろうね…」 「ママもだいちゅき…」 「ママ?」 「ゆ…あ…ママ…」 「私?うれしいな…私も柚乃ちゃん大好きだよ」 まだ何時間かしか一緒にいないのに 私は柚乃ちゃんがかわいくて仕方なかった 「優愛…」 「ダディ…これから食事?」 「いや、いろんな人に妙な事言われてな… 確かめに来たんだけど…こういう事か…」 「妙な事って?」 「院長先生、お孫さん出来たんですか?ってな… この子の事はすっかり忘れてたよ… だけど…本当の親子みたいだ すっかりなついてる… これじゃ、孫って言われてもしょうがないな…」 「ごめんね…私、今日仕事してない… 柚乃ちゃんが気になっちゃって…」 「これも仕事だよ… 体調はどうだ?もう痛がってないか?」 「さっきお尻に違和感があるみたいで 歩き方がぎこちなかったけど… 食欲もあるし…落ち着いたと思う」 「そうか、それは良かった… 父親とは連絡取れたのか?」 「ええ…ミズ達も東京に行ってて探してもらったの… でも長引いててちょっと帰りが遅くなりそうみたいで」 「優愛は放っておけないもんな… 今日はもうあがれ…後は俺が対応するから…」 「でも…」 「俺に似てるんだよ… 俺も放っておけなかったよ 血は繋がってなくても…やっぱり俺の娘だな…」 「ダディ…うれしい…私はダディのような 誰にでも優しい医師になるのが目標だから…」 「ママ…」 「柚乃ちゃん、ごめんごめん うどんなくなっちゃったね… いま、入れてあげるからね…」 「ママ…か…これじゃみんな勘違いするよな…」 「私くらいの女の人はみんなママなの…」 「あんまり深入りは良くないけど 父親が戻るまで寂しい思いさせないようにな じゃ、ゆっくり食べさせて…」 「ありがとう…ダディ」
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