第1章

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ピンポーン 「あっ、来たかな……はーい」 「長坂です…」 ドアを開けると落ち着いた感じの紳士が立っていた 「すぐわかりましたか?」 「はい…実は私達もここに住んでるんですよ」 「えっ?本当に?」 「えぇ…うちは501です」 「このフロア?じゃ、もしかして…杜崎さんの紹介で?」 「そうです…杜崎先生にお借りしてます」 「そうだったんですか… あっ、こんなところですみません なかにどうぞ…」 「寝ちゃってるんですよね… すみません…ちょっと失礼します」 「柚乃ちゃん、手のかからないいい子ですね」 「私があまり手をかけてあげられないので 何でも自分でしようとするんですよ わがままも言わないんです こんなに小さいのに我慢ばかりさせてるんで 今回の便秘も…我慢させてしまったのかなって…」 「そうですね…食生活とストレスが原因と言えますね」 「食生活と言われると… 時間がないとコンビニ弁当にしてしまうので…」 「こんな小さなうちからコンビニ弁当では 成長にも関わってきますから… あのー、今日の夕飯は?」 「…コンビニ弁当にしようかと…」 「カレーはお嫌いですか?」 「いえ、大好物です…」 「良かったら食べていきません? 昨日、たくさん作りすぎて… 柚乃ちゃんにはヨーグルトでマイルドにしましょう」 「そんな、申し訳ないです… 今日、初めてお会いしたばかりで…」 「柚乃ちゃんとお友だちになりましたから…」 「実はびっくりしてるんです… 柚乃が初めて会った方と二人きりでいるなんて 人見知りで川岸さんとも最初は泣いていたそうです」 「確かに最初は何も話してはくれませんでしたけど すぐになついてくれましたよ」 「ママ…」 「柚乃ちゃん、起きたの?」 「あっ、パパ!」 「柚乃…ただいま…お腹はもう痛くないか?」 柚乃ちゃんは頷いて 「パパぁ…」 長坂さんに駆け寄った 「柚乃ちゃん、みんなでカレー食べようか?」 「たべるー」 「柚乃じゃないみたいだ… こんなに大きな声で話すなんて初めて見ました… 余程あなたを信頼してるんですね すみません…ママって呼んで…」 「全然…私の名前を教えたんですけど 結局はママになって…ニックネームだと思いますよ」
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