第9章

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「優愛…中野さんて内科の?」 「うん…雄平さんには話してなかったから びっくりしたよね…」 「さっきの話を聞いてだいたいはわかったけど 法的には充分勝てる事だと思うんだけど 心の問題だよな… でも、誰か側についてるって その人と彼女の関係もあるんじゃないのか 大丈夫なのかな…ややこしくならないといいけどな」 「中野さんは渡辺さんと出会うまでは ずっとその人に片思いしてたの それを知ってるから 自分が側にいて守ってあげたいって 幸せにしてあげたいって言ってた」 「優愛の知り合いなんだ…」 「えっ?…うん、マーモ…小金沢先生なの」 「小金沢先生?いまの話だと… 彼女が片思いしてたの知ってたって そんな優しい人がそんな思いを知ってて 付き合ってなかったっていう事は 他にいるのかな…好きな人が… でも、自分の事より他の人の事を考えるなんて あの先生らしいな…」 「うん、優しい人だからね… でもね、そこまでするにはもっと事情があるの」 「事情?」 「うん…彼の実家の病院で起きた事だから… 責任を感じてるの 自分がもっと早く気付いてあげてたらって 彼はまだ学生で病院では働いてなかったんだけど」 「愛情じゃなくて責任感で一緒にいるのか… 雄一郎くんとは会った事はないけど 彼の思いが本当だったら 渡辺さん親子と家族になった方が お互いにいいのかな」 「でも中野主任が自分は汚れてるっていう思いを そう簡単に変えられるのかしら… 本当に深く傷ついてるみたいなの」 「俺も弁護士としていろんな人を見てきたけど なかなか難しいんだよな」
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