第10章

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渡辺さんが訪ねてきてから2週間後私は退院した 杖である程度の事は出来るようになったから だけど自分の事が精一杯で 柚乃ちゃんの事まで出来ないので 希愛ちゃんにしばらく来てもらう事にした 「お姉ちゃま~遅くなってごめんなさ~い」 廊下をバタバタと走りながら希愛ちゃんが帰って来た 「のあちゃん!」 ドアを開けて入って来た希愛ちゃんに 柚乃ちゃんが駆け寄り抱きついた 「柚乃ちゃ~ん、ただいま~待っててくれたのぉ?」 「お帰りなさい…希愛ちゃんが帰るまで 寝ないって…頑張ってたのよ…」 「なんてかわいいのぉ~ ねえ柚乃ちゃん、お風呂入ろうか?でも眠いかなぁ…」 「はいる!のあちゃんといっしょ!」 「よーし、じゃ着替えてくるから待っててぇ」 「はーい!」 柚乃ちゃんはソファにちょこんと座って待っている 「柚乃ちゃん、良かったね」 柚乃ちゃんは嬉しそうに頷いた 希愛ちゃんがすぐに戻って来てお風呂に入った 希愛ちゃんと柚乃ちゃんの楽しそうな声が聞こえてきた もうすっかり希愛ちゃんと仲良しになった柚乃ちゃんは 以前とは別人のようによく笑い、よく話すようになった 明るい希愛ちゃんのおかげかな… 遅い時間だからかいつもより早めにあがってきた 「お姉ちゃま、柚乃ちゃんの髪乾かしたら 一緒に寝ちゃうね」 「希愛ちゃん食事は?」 「こんな時間だよぉ~食べてきたよ」 「そうよね…もうすぐ22時だものね」 「あっ、そういえば…途中でマモくんに会ったよ… コンビニの隣の定食屋さんから出てきて びっくりしちゃったぁ~」 「ひとり?」 「うん、ひとりだったよ… 昨日から仕事復帰したんだって 何も作る気にならなくて食べに来ちゃったって」 「中野さんはどうしたんだろう… 体調でも悪いのかな…ひとりで外に食べに行くなんて」 「う~ん、何にも言ってなかったなぁ…」 「のあちゃん、ねむい…」 「ごめ~ん、すぐ髪乾かしてあげるから もう少しだけ頑張ってね」 柚乃ちゃんはとろーんとした目をして頷いた 「希愛ちゃんごめんね…全部お願いしちゃって…」 「全然、毎日楽しいよ! なんか姪っ子っていうより年の離れてる妹みたい ほんとに柚乃ちゃんはかわいいよね」 「そう言ってもらえると嬉しいな…」 「じゃ、お姉ちゃまお先におやすみなさい…」 眠ってしまった柚乃ちゃんを抱いて行った 私はひとりになってマーモの事が気になっていた
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