第10章

5/19
前へ
/194ページ
次へ
柚乃ちゃんは私の洋服を摘み心配そうに見ている 「大丈夫だよ…柚乃ちゃんがお利口にしてくれてるから ママは早く良くなりそうだよ でも、手を繋げなくてごめんね…」 「柚乃ちゃん…」 誰かの柚乃ちゃんを呼ぶ声 柚乃ちゃんが振り返り 「マーモ!」 「マーモ…?」 わたしがゆっくり振り返る頃には 柚乃ちゃんはマーモに抱っこされていた 「マーモ…」 「ゆーあ…久しぶり だいぶ良くなってきたようだね」 「うん…マーモ…痩せたね…」 「そうかな?食事が面倒で抜く事が多かったからかな」 「中野主任は?」 「…香澄さん?…院長に聞いてない? 彼女は渡辺さんのところに行ったよ」 「えっ?じゃ、マーモはひとり?」 「…そう…俺のひとりよがりだったみたい…」 フッと笑った顔が悲しそうだった 「マーモ、食事は?」 「これ」 そう言ってコンビニの袋を私に見せた 「マーモ…お願いがあるの… そのまま柚乃ちゃんと部屋まで来てくれない?」 「最初からそのつもり… 柚乃ちゃんと会えたのにすぐさよならは出来ないよ かわいいお姫様…」 …ぼくのかわいいおひめさま… 「マーモ…それ…」 「俺のかわいいお姫様はゆーあしかいないよ 過去も未来も… でも柚乃ちゃんもかわいいお姫様なんだ 俺のじゃないけどね…」
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加