第10章

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「おひめさま…?」 「そう…柚乃ちゃんはかわいいお姫様だよ」 「ママもかわいい…」 「そうだね…ママもかわいいね」 「もう…かわいい歳じゃないわよ…」 「俺にはふたりともかわいいよ…ねっ、柚乃ちゃん…」 「ねっ!」 「本当にかわいいな… ゆーあの赤ちゃんもかわいいんだろうな…」 「最近つわりが始まったみたいなの…」 「無理しないで…初めてだから不安もあるだろうけど 専門のカナもいるし…俺も何でも協力するよ」 「ありがとう…カナくんは専門だけど弟だし… 出産だから…やっぱり経験者でもあるガクんとこの 奈津子先生に相談してるの…」 「院長の友達の? 確か…カナとルアはその先生だったんだよな」 「そう…カナくんとハルちゃんが生まれた時は 大変だったよね…まだ小さかったから よくは覚えてないけど… あの時の事を思い出すと…出産が怖くなる… ママみたいにずっと眠ったままになったらって…」 「大丈夫…耀おばさんの時は圭佑おじさんの事が あったからだよ… ゆーあにはみんないるから…安心して…」 「マーモに言われると安心出来る…」 「さぁ、お姫様着きましたよ…」 マーモは私達の部屋の前で柚乃ちゃんをおろして言った 「マーモ…ご飯食べていって…」 「これがあるから大丈夫だよ…ありがとう心配してくれて」 「今日はね、柚乃ちゃんの好きなオムライスにしようと 思ったんだけど…明日食べるようにって煮物も作ったの… そのお弁当うちで一緒に食べていかない?」 「いいのかな…彼がいない時に上がり込んで…」 「えっ?… 雄平さんにはちゃんと話しておくから大丈夫だよ」 「じゃ、お言葉に甘えようかな… 柚乃ちゃん、ご飯一緒に食べてもいい?」 「いい!わ~い!マーモといっしょ!」 柚乃ちゃんはうれしそうにぴょこぴょこ飛び跳ねてる 「みんなで食べた方がおいしいものね」 私は中野さんが渡辺さんのところに行ってしまい ひとりになったマーモを放っておくことは出来なかった 中野さんにとっては幸せになって良かったけど… 覚悟を決めて中野さんを受け入れたマーモは いまどんな気持ちなのか…心配だった…
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