第10章

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私と希愛ちゃんはすぐに家を出て タクシーで実家に向かった マーモは 「きょうは泊まっておいで… 柚乃ちゃんの事は心配しないで ハルんとこの子預かった事あるから 結構慣れてるんだ… 明日は保育所にもちゃんと送って行くから ねっ、柚乃ちゃん」 そう言って柚乃ちゃんを抱き上げた 柚乃ちゃんは頷いて 「マーモおうちいこ~」 私はそれを聞いて安心して出掛けられた 「ねぇお姉ちゃまぁ~ 普通小さい子って大人の男の人と2人だけって なったら…もっと不安な顔をするよね… 柚乃ちゃんはマモくんの優しさがわかるのかなぁ」 「きっとそうだと思う…最初からなんだよね マーモには人を安心させる何かがあるのかな… 私もマーモと一緒だと安心するっていうか なんか肩の力が抜けていく感じで…」 「お姉ちゃまの場合はまたちょっと違うと思うな… なんてったってマモくんの想いが違うもん… マモくんは希愛の話も優しく聞いてくれるけど お姉ちゃまを見つめるマモくんは 愛が溢れてて…希愛まで幸せな気持ちになるの」 「そうかなぁ…」 「本当は…お姉ちゃまとマモくんが結婚して あの病院を継ぐのがいいとみんな思ってるよ…」 「えっ?…まさか…」 「本当だよ…でも…無理だものね… お姉ちゃまのお腹には… 雄平さんの赤ちゃんがいるんだから」 「そうよ…私は雄平さんと結婚するの…」 自分でそう言って… 胸の奥がギュっと締め付けられる感じがした 「でも…どうなるんだろうあの病院… あそこはパパのお父さんがつくったんでしょ… ずっと昔に亡くなっちゃったからわかんないけど 誰かが受け継がなきゃいけないよね…」 「希愛ちゃんは…?」 「希愛は保育士になるんだもん… 海斗は医療関係でも薬学部だから 病院を継ぐのは無理だよぉ… それに海斗の家もお兄ちゃんが海外だから… お母さんは海斗を頼りにしてるの うちの病院継ぐなんて言えない… それじゃお婿さんみたいだもん…」 「そうかなぁ… 希愛ちゃんはダディの子なんだから いちばんいいと思うんだけどな…」 「またぁ~そんなふうに言ったらパパ怒るよ… 優愛もカナもハルも俺の子だって…」 「そうだね…」
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