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「ごめんね…優愛を泣かせるつもりじゃなかったのよ
ただね…マモくんの事…
あなたには話しておいた方がいいと思ったの
優愛は28才になったのよね…
あなたが生まれる前からずっとよ…
ママのおなかに向かってよく言ってたの
『かわいいあかちゃん、はやくでてきて!
はやくあいたいよ~』
生まれてからはあなたも覚えているでしょ
『ボクのかわいいおひめさま』
本当に愛おしそうに言ってたわ
あなたのパパがやきもち焼くくらいにね
マモくんは小さい時、心臓が悪くてね
他の子みたいに走り回ったり出来なくて
いつも家で静かに遊んでたそうなの
そんな時パパとママは東京で暮らし始めて
何かとお世話になったのがマモくんのパパなの
ママは当時マモくんのおじいちゃんが院長だった
小金沢病院で働いてたから
同じ境遇だった理子ちゃんとはすぐ親しくなったわ
マモくんのパパの海外赴任の後任として
パパが近くの病院で働いてたの
パパが当直でいない時は身重のママが心配だからって
理子ちゃんが家に泊めてくれたり
マモくん家族には本当にお世話になったわ…
最初はマモくんは口数の少ない子だったけど
赤ちゃんが生まれるって嬉しかったのね
明るい元気な子になってきて
優愛が生まれてからは面倒見のいいお兄ちゃんだったわ
それからずっとよ…
私にとってもマモくんは息子のような大切な存在なの
だから…いつかあなたに伝えたいと思ってた
たとえ…あなたが他の誰かとの未来を選んでも…
きっとマモくんは変わらずに
あなたを見守ってくれると思うから…」
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