第10章

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「ごめんね…優愛を泣かせるつもりじゃなかったのよ ただね…マモくんの事… あなたには話しておいた方がいいと思ったの 優愛は28才になったのよね… あなたが生まれる前からずっとよ… ママのおなかに向かってよく言ってたの 『かわいいあかちゃん、はやくでてきて! はやくあいたいよ~』 生まれてからはあなたも覚えているでしょ 『ボクのかわいいおひめさま』 本当に愛おしそうに言ってたわ あなたのパパがやきもち焼くくらいにね マモくんは小さい時、心臓が悪くてね 他の子みたいに走り回ったり出来なくて いつも家で静かに遊んでたそうなの そんな時パパとママは東京で暮らし始めて 何かとお世話になったのがマモくんのパパなの ママは当時マモくんのおじいちゃんが院長だった 小金沢病院で働いてたから 同じ境遇だった理子ちゃんとはすぐ親しくなったわ マモくんのパパの海外赴任の後任として パパが近くの病院で働いてたの パパが当直でいない時は身重のママが心配だからって 理子ちゃんが家に泊めてくれたり マモくん家族には本当にお世話になったわ… 最初はマモくんは口数の少ない子だったけど 赤ちゃんが生まれるって嬉しかったのね 明るい元気な子になってきて 優愛が生まれてからは面倒見のいいお兄ちゃんだったわ それからずっとよ… 私にとってもマモくんは息子のような大切な存在なの だから…いつかあなたに伝えたいと思ってた たとえ…あなたが他の誰かとの未来を選んでも… きっとマモくんは変わらずに あなたを見守ってくれると思うから…」
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