第11章

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それからママが作ってくれた朝ご飯を食べた バタバタ忙しい希愛ちゃんと ゆっくり食後のコーヒーを飲んでるハルちゃん ソファには同じように新聞を読んでるダディとカナくん 洗いものをするママを手伝おうと側に行くと 「まさか手伝おうとしてる?」 ママが笑いながら言った 「うん…寄りかかれば出来るよ」 ケガしてる私が出来ないと思っているのかとそう言えば 「良くなってきてるのはわかるわ… でも…優愛は変わらないなって思ったの」 「えっ?」 「あなたは小さい時からよくお手伝いをしてくれたわね 『ゆあはおねえちゃんだから…』いつもそう言って… あなたには小さい頃から大変な思いをさせて 辛い事ばかりでね…甘えたい時に我慢ばかりさせて… だから私はあなたには特に幸せになって欲しいの あなたがいちばん落ち着ける場所を探して欲しい… それがあなたのパパとお父さんの願いでもあるわ…」 「パパとお父さん…」 「ねぇ優愛…お父さんに会ってみない?」 「お父さん?」 「実はね、あなたのお父さん…雄司さんが 社長を辞めてアメリカに行くそうなの 華絵ちゃんとこの篤さんから教えてもらったの まだ少し先の事だから…考えてみて」 榊 雄司…私の本当のお父さん 高校の頃、あーちゃん…おばあちゃんのお葬式で 初めて会っただけで、ほとんど会話もかわしていない 「ひとりで?」 「私が一緒でもひとりでもあなたに任せるわ これが最後になるかもしれないの… アメリカに行ったら戻るつもりはないそうだから よく考えて…」 「わかった…」 私の本当のお父さんだけど 私には本当の娘のように育ててくれたパパと パパが亡くなってからもずっと 大事に育ててくれたダディがいる お父さんに会って何を話せはいいんだろう… 感謝はしている お父さんとママが出会って愛しあわなければ 私はいまここにはいないんだから そうだ『ありがとう』ってちゃんと伝えなきゃ だけどこんな姿じゃなく ケガが治ってから会いに行こう 心配かけないように…
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