第11章

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「優愛、そろそろ病院行くけどお前も行くだろ?」 「ダディ、乗せてってくれる?」 「当たり前だろ…お前が用意出来たら行くぞ」 「わかった…すぐ用意するね」 用意といっても特にはなくすぐに出発した ダディの車で病院に向かう途中 「ねぇダディ…私のお父さんの事はよく知ってるの?」 「榊さんか…そんなに会った事はないけど どうした?」 「さっきママから言われたの… お父さんが社長を辞めてアメリカに行くから 会ってみないかって… なんかもう日本には戻らないみたいって 篤おじさんに聞いたみたい」 「篤くんから? そうか…そういえば樹さんが言ってたな 榊さんは社長を次の人に任せたいって言ってるって 先代の社長に呼ばれて帰ってきたから 人に任せてた向こうの会社を整理しに戻りたいみたいだな」 「アメリカにも会社があるの?」 「あぁ…先輩だったかと一緒に立ち上げたけど その人はもう亡くなったみたいだな 榊さんも70近くなったから いろいろ整理したいのかもな… 再婚もしなかったみたいだから 子供はおまえだけだろ… あの人には悪い事したと思ってる 優愛ともっと会わせてあげられるように 俺がちゃんと考えれば良かったってな いまさらだけど…もっと身近に感じられるように 時々みんなで会う機会をつくるか… 旅行がてら会いに行けばいいさ」 「私はお父さんって言われても ピンとこなくて… でもね、ママをずっと愛してて ダディの前でごめん… 私の事も大事に思ってくれて 再婚もせずにいたって聞くと… 会って一度はちゃんと話しをした方がいいのかなって 後で後悔するかもしれないしね…」 「まぁ、深く考えずに会ってみたらいいよ」 病院に着き私は雄平さんの病室に向かった 「あれ?ドアになんか挟まってる…」 病室のドアに何かが挟まってる為 その分隙間ができていた 何が挟まっているんだろうとゆっくり近付いて行くと 「もう…雄平先生は変わらないですね あの時もこんなふうに私を笑わせてくれましたよね 雄平先生と一緒にいると その時だけは嫌な事が忘れられたんです 不謹慎だけど…ずっと側にいて欲しいなんて思ったり」 「本当に? 美咲さんは俺を避けてたように感じてたんだけど」 「確かに避けてました… これ以上頼ってしまわないように…」 私の知らない女性との会話が聞こえて 入り辛くなってしまった…
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