第11章

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私は病室には入らず、少し離れたところにある 面会スペースに向かった 「あっ、優愛先生?こんなところでどうしたの?」 「あっ…誰かいらしてて…面識ない方だから ちょっとここにいようかなって…」 「それって…若い女性ですよね? 鈴原美咲さんじゃないですか? うちに入院してる方ですよ…」 「えっ?ここに入院?」 「いまは検査入院ですけど… 段々視力が落ちてるそうなんです」 「詳しいわね…」 「私、ご主人が亡くなった時、担当してたんで…」 「えっ、ご主人亡くなってるの?」 「5年くらい前だったかなぁ…先生がここに来る前ですね 凄かったんですよ…」 「前田さん!先生探してたよ!」 向こうから話しをしていた前田さんを呼ぶ声がした 「あっ!すぐ行きま~す!優愛先生、戻りますね」 「ごめんね、話し込んじゃって」 前田さんがナースステーションに戻り ひとりになってさっきの会話を思い出していた 雄平さんを先生って呼んでたから 仕事での知り合いかな… 雄平さんもミサキさんって呼んでたから ふたりは親しい関係だったのかも… 少なくともあのミサキさんという人は 雄平さんの事が好きだったんだろうな 会話を聞いてそう思った… 「ママぁ~ママぁ~」 柚乃ちゃんより少し大きいくらいの女の子が 泣きそうな顔でママを探している 私がその子のところへ行こうとした時 「ナナ!」 遠くから聞こえた声に女の子が反応して 「ママぁ~」 良かった見つかったんだ…ほっとしていたら 「鈴原さん、危ないからそこで待っててください ナナちゃん、ママのところに行こうね」 前田さんが女の子を連れて行った ミサキさんっていう人の子供なんだ… 雄平さんの子供…じゃないよね… 私は不安になっていた
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