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私は病室には入らず、少し離れたところにある
面会スペースに向かった
「あっ、優愛先生?こんなところでどうしたの?」
「あっ…誰かいらしてて…面識ない方だから
ちょっとここにいようかなって…」
「それって…若い女性ですよね?
鈴原美咲さんじゃないですか?
うちに入院してる方ですよ…」
「えっ?ここに入院?」
「いまは検査入院ですけど…
段々視力が落ちてるそうなんです」
「詳しいわね…」
「私、ご主人が亡くなった時、担当してたんで…」
「えっ、ご主人亡くなってるの?」
「5年くらい前だったかなぁ…先生がここに来る前ですね
凄かったんですよ…」
「前田さん!先生探してたよ!」
向こうから話しをしていた前田さんを呼ぶ声がした
「あっ!すぐ行きま~す!優愛先生、戻りますね」
「ごめんね、話し込んじゃって」
前田さんがナースステーションに戻り
ひとりになってさっきの会話を思い出していた
雄平さんを先生って呼んでたから
仕事での知り合いかな…
雄平さんもミサキさんって呼んでたから
ふたりは親しい関係だったのかも…
少なくともあのミサキさんという人は
雄平さんの事が好きだったんだろうな
会話を聞いてそう思った…
「ママぁ~ママぁ~」
柚乃ちゃんより少し大きいくらいの女の子が
泣きそうな顔でママを探している
私がその子のところへ行こうとした時
「ナナ!」
遠くから聞こえた声に女の子が反応して
「ママぁ~」
良かった見つかったんだ…ほっとしていたら
「鈴原さん、危ないからそこで待っててください
ナナちゃん、ママのところに行こうね」
前田さんが女の子を連れて行った
ミサキさんっていう人の子供なんだ…
雄平さんの子供…じゃないよね…
私は不安になっていた
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