第1章

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ご飯を食べた後、柚乃ちゃんは本棚の前に座り 絵本を眺めてる 「柚乃ちゃん、絵本読みたいの?」 柚乃ちゃんは頷いた 「柚乃、もう帰るぞ… お姉さんの迷惑になるよ」 柚乃ちゃんは下を向いたまま何も言わず立ち上がった 「私なら大丈夫ですよ…」 「いえ、こういう事はちゃんとしないと 困るのは柚乃ですから…」 私はパパを思い出した まだ小さかった私にダメな事はダメと ちゃんと話して言い聞かせてくれた そんな場面を時々思い出す 「ごめんなさい… 私の亡くなった父も同じように 小さい私にいろいろ教えてくれてました いまでも思い出すんですよ… やっぱり、大事な事ですね」 「私がいつまでも側にいられるとは限りませんから ひとりになっても困らないように 常識ある人になって欲しいから…」 「素敵なパパですね… あのー…私…お姉さんっていう年でもないので 優愛って呼んでください 私も雄平さんって呼んでいいですか?」 「私は構いませんが、名前で呼ぶのは照れちゃうな…」 「フフ…大人の男の人に失礼ですけど…かわいい…」 「優愛ちゃん…からかわないで…」 「だって本当に雄平さんがかわいいから… ね、柚乃ちゃん?」 柚乃ちゃんはニコニコ笑っている 「柚乃ちゃんもかわいい!」 「ママもかわいい…」 「柚乃ちゃん…」 私は柚乃ちゃんを抱きしめた 「ありがとう…柚乃ちゃん」 「柚乃がこんな事言うなんて… 優愛ちゃんはすごいな… 柚乃がこんなに笑ってる あなたと出会えて良かった… ありがとう…」 「私こそ柚乃ちゃんと雄平さんに出会えて 良かったです…ありがとうございます…」 私はこの時もう好きになっていたのかもしれない…
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