第11章

13/15

89人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
「これはね…8年前 美咲ちゃんが仕事復帰して最初の休みに お詫びに何でも願いをかなえるよって言ったら 遊園地に行きたいって… 俺はちょっと恥ずかしかったけど… その時撮った写真なんだけど…まだ持ってたんだ…」 定期入れを私に見せてくれた 美咲さんは頭にキャラクターの飾り物を被って 幸せそうに笑っている 「すごく楽しそう…」 私がそう言うと 「楽しかったよ…年を忘れて俺も思いっきり楽しんだ 後にも先にも1回しか行ってないけどね」 「ママはときどきしゃしんをみてないてるの… きっと…おめめがみえなくなるから… せんせいにあいたかったんだとおもうの… ママがもうなかないように… ママとけっこんしてください…」 雄平さんは困ったように 「ナナちゃん…ママはここに来てる事知ってるの?」 「……」 ナナちゃんは俯いてしまった… 「ママには何て言って来たの?」 「ハウスにいくって…」 病院の隣にあるお年寄りや子供の為の 会員制の施設〝フレンドハウス″ 「ママはけんさだから…」 「よそに預かってもらう事が出来ない 小さな子供さんがいる患者さんは みんな利用してるの… ナナちゃんもママが検査とかでひとりになる時は 利用してるのね…」 「こんな小さな子がひとりて行っても大丈夫なのか?」 「外に出なくても病院から行ける連絡路があるし ハウスにはそういう子を専門にお世話する スタッフがいるから… ナナちゃん、ハウスでみんな探してるかもしれないよ… ナナちゃんが行くって連絡がいってるはずだから… ちょっと連絡入れておくね」 私はハウスに電話して少し遅れて 私が連れて行くと伝えた 「優愛…悪いね…」 「全然…ナナちゃん、あとちょっとしたら行こうね」 「はい…」 ナナちゃんは4才とは思えない受け答えをする きっと美咲さんとふたりで暮らして いろんな経験をして他の同じくらいの子より 大人びているのかもしれない 「ナナちゃん、さっきの話しはまた今度ゆっくり話そうね ハウスの人達が待ってるから今日はもう行った方がいいよ」 「せんせい…ナナ…いいこにするから… パパになって…ママのおめめがみえなくなるまえに…」 そう言って 「おねがいします…」 頭を下げた 「ナナちゃん…」 本当に困った顔をしている雄平さん
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加