第11章

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ブザーを押すと 「は~い!お名前お願いします」 「すずはらななです!」 「ナナちゃんですね!いま開けますね」 カチっとロックが解除され ドアが開いてうちの病院担当のユミちゃんが顔をだした 「ナナちゃん!待ってたよ~ 優愛先生も、ありがとうございます!」 「おねえさんもせんせいなの?」 「優愛先生はこの病院のお医者さんなんだよ」 「すごーい!ナナもおいしゃさんになりたいの! ママのおめめをなおすの!」 「そうなの?じゃあ、お勉強も頑張らないとね… わたしも応援してるね! それじゃユミちゃん、ナナちゃんを宜しくね 遅れて来た事はナナちゃんのママには内緒で… ナナちゃんが叱られないようにね」 「了解で~す!ナナちゃん、さあ行こうか?」 「ゆーあせんせい、ありがとうございました またね!」 初めて会った時の柚乃ちゃんとは 真逆なナナちゃんだけど あの時と同じようにすごく気になってしまう きっと雄平さんもいま頃…考えているだろう 美咲さんは出会った時からずっと 雄平さんの事が好きだった… 亡くなったご主人と結婚しても その想いは無くなる事はなかったんだろう 私と出会っていなかったら… 迷う事なく美咲さんとナナちゃんのところへ… 雄平さんも行けたんだろう…と思うと なんだか私が雄平さんの側にいる事が 申し訳なく感じてしまう これからの想像も出来ない未来へ 待ち受けているだろういろいろな試練を まだ小さいナナちゃんとふたりで 乗り越えていくという 早くに両親を亡くし 幸せになるはずだった結婚生活も あっという間に砕け散り 夫も亡くした たったひとりでこどもを産み育てて やっと穏やかに暮らせると思っていただろう 美咲さんの運命は またしても大切な″光″を奪おうとしている 両親もきょうだいもいて なにひとつ不自由なく暮らしている そして愛する人とその愛する人とのこどもが このお腹のなかにいる… 私は幸せ過ぎるのかなぁ… そんなふうに考えていたら雄平さんの病室についた
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