第12章

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病室に入ると 「優愛、ありがとう… そして…ごめん…いくら小さな子供の話でも あんな事聞いていい気はしないよな」 一段と落ち込んでしまっているよう 「雄平さん、私は嫌な思いなんてしてないよ かえって申し訳なくて… 私が幸せでいるのが… 美咲さんの不安な気持ちも ナナちゃんのママを思う気持ちも よくわかるから…」 「優愛がそんな気持ちにならなくてもいいんだよ… 優しいからな…優愛は…」 「ねぇ雄平さん? 美咲さんとちゃんと話をしたら…? きっと誰にも言えない不安とか たくさん抱えてると思うの 力になってあげて欲しい… 少しでも事情を知ってるんだし いちばん信頼している人だと思うから」 「あぁ…そうだよな… 美咲ちゃんには身寄りがないんだからな また、優愛には嫌な思いさせるかもしれないけど ごめんな…」 「また、そう言う…私は気にしてないからね」 私は心からそう思った 病気の人の不安な気持ちはたくさん見てきたから 小さな子供がいる美咲さんは なおさら不安が大きいはず きっと雄平さんを見かけた時は 弱い気持ちも全部吐き出してしまいたかったと思う だけど愚痴ひとつも言わなかったのは 優しい雄平さんを巻き込んでしまうと思ったから 私だったらどうだろう? 美咲さんみたいに全部ひとりで抱えて 生きて行けるかな? 私ならきっと誰かに頼ってしまうだろう 私にはそう出来る人がたくさんいるから だから雄平さんには 美咲さんのそんな人になって欲しいと思った 「ねぇ雄平さん、美咲さんはいずれ他所の病院に 移ると思うの…ここには専門の科が無いから だからその前に話す機会を持ってみて… ダディに言えば検査の合間に時間を取って うまくやってくれると思うから…」 「そうだな…早い方がいいよな…」
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