第12章

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雄平さんの部屋を出てから1階の待合室を通って 正面玄関から出ようとした時 「優愛先生!」 受付の小関さんに声をかけられた 「お疲れ様です、どうしました?」 「あちらで、優愛先生を待ってる方が…」 そう言って待合室のソファを指さした 「あのパジャマの人?」 「そうです…先生が通られたら教えて欲しいって…」 「わかりました、ありがとう…」 パジャマを着て座っている女性の方へ近づいて行くと 「優愛先生ですか?」 「えぇ…あの…」 「突然すみません…鈴原美咲といいます…」 「美咲さん…」 「いま、お時間ありますか?」 「大丈夫ですけど、美咲さんはここにいて大丈夫ですか? 病室に戻ります?」 「ナースセンターには買い物をしてくると言ってきました」 「美咲さん、ひとりで大丈夫ですか?」 「先生もご存知ですよね…私の目… まだ、何とかひとりでも歩けます… でも、毎日少しずつ悪くなってる気がします…」 「美咲さん、病棟の面談室に行きましょう… 私がナースセンターで話しますから」 はいと言った美咲さんは 杖を持ってゆっくりと歩き出した どうして美咲さんが私を待っていたんだろう そう思いながら病棟へ向かった
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