第12章

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「はい…私が高校生の時に 両親とも病気で亡くなっています 親戚とも昔何かあったようで 付き合いはなくて私は誰の顔も知りません 私はひとりっこなので…本当にナナとふたりだけです でも…お子さんも生まれるのに… 私なんかの事にお二人を巻き込みたくないです… 今まで何とか生きてこれたように… ふたりでなんとかやっていけます いえ…やっていきます…だから…」 「美咲さん、あなたの今の顔… 鏡で見せてあげましょうか? 不安でいっぱいの顔ですよ… 強がらないで…さっき言いましたよね 気を遣うのも、嘘も無しって… あなたの本心には思えませんよ… そうだ…じゃ、こうしましょ 雄平さんをお兄さんだと思って頼ってみたら? 辛い時、心細い時きっとあなたの力になってくれますよ それに柚乃ちゃんもいるから ナナちゃんもきっと寂しくなくなりますよ 私がいいって言ってるんだから 私の事は気にしないでね 取りあえず雄平さんと話をしてみて」 トントン… 「優愛先生…ナナちゃんが目を覚ましました」 「ママぁ…」 ドアが開いてナナちゃんが目を擦りながら入ってきた 「ナナ…」 「ナナちゃん、起きたの? ごめんね、先生がママを借りてたの もうお話は終わりだからお部屋に行きましょう」 「優愛先生…ありがとうございます… 雄平先生に相談させてもらいます…」 「今日、ナナちゃんは病院にお泊り?」 「えぇ…誰も見てもらえる人がいないので… 入院中ずっと…」 「ナナちゃん、先生のお家に 3才の柚乃ちゃんっていう女の子がいるんだけど 遊んでくれない?いつもひとりで遊んでるの」 「せんせいのこども?」 「雄平先生の子供だよ」 「ゆうへいせんせいはパパなんだ… じゃ、ナナのパパにはなれないの?」 「ナナ!またそんな事…」 美咲さんは慌ててナナちゃんを叱った 「雄平先生は優しいから ナナちゃんの事も可愛がってくれるよ パパみたいにね…」 「パパみたいに?」 「えぇ…今日は先生のお家にお泊りしない? でも、ママがいないと寂しいかな?」 「いきた~い!ナナはひとりでおとまりできるよ ほいくしょのおとまりかいでなんかいも…」 「じゃ、決まりね!美咲さん、ナナちゃんをお借りしますね」 「いいんですか?ナナは人見知りはしないので 私がいなくも泣いたりしないと思いますけど…」 「柚乃ちゃんも喜びますから」
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