第2章

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「ダディ…私はこれで良かったって思ってる ダディの背中を見ながら少しずつ 私のやりたい事がわかってきたから…」 「優愛のやりたい事って…?」 「どんな人でもちゃんと治療が受けられるような 特に高齢者と乳幼児かな… 貧しくて診察を受けられないって事のないような ダディがこの病院に来る前 診療所にいたって言ってたわよね 来れない人には往診してあげたり お金のない人にはボランティアで診察したり そんなふうに誰もが治療を受けられるように したいなって思うの… もちろん私ひとりでは出来ないだろうけど…」 「優愛…俺のじいちゃんが生きてたら喜んだだろうな… お前と同じ気持ちで診療所やってたから」 「大先生はどんな人にも診察を受ける権利は 平等にあるってよく言ってたわね…」 「私はまだ一人前にもなっていないから 偉そうな事は言えないんだけど…」 「優愛はちゃんと考えてんだな… 俺なんてその日その日の事で 精一杯なのに…」 「ミズは覚える事がいっぱいあるんだもの」 「医者だって同じだろ… 優愛は昔から俺の先を歩いてたよな… いつか越えたいって思ってた だけどまだまだ越えられそうにないや…」 「情けない事言ってないで飲め!」 「親父…明日裁判だよ…春日先生に起こられるよ」 「そうだな…春日は結構そういうのうるさいからな 俺がいない時、任せてるやつなんだけど 俺より厳しくてな…まぁだから任せてるんだけどな」 「あっ、もうこんな時間…そろそろ帰らなきゃ…」 時計を見ると22時を過ぎていた 「優愛は今日泊まらないのか?」 「ガク、代わりにどうぞ… 私は明日の朝用事があるから…」 「朝早くにか?」 「たーおじさん、柚乃ちゃんにお通じに効く 野菜ジュース持ってく約束してるから…」 「悪いな…頼むよ」 「優愛、随分と親しくなったんだな…」 「仕事柄気になっちゃうのよね… あんな小さな子が苦しむ姿は見たくないもの」 「ゆーあ、じゃ一緒に帰ろう…」 「俺も…」 「ガクは方向が違うだろ…俺達と帰ろう 瑞樹、車か?」 「あぁ…優愛達も送るよ…」 「タクシーで帰るから大丈夫よ… ミズ、ありがとう…」 私はマーモと一緒にタクシーを呼んで先に帰った
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