第2章

17/22
前へ
/194ページ
次へ
翌朝、約束の時間に ピンポーン 「はい」 「優愛です…」 ドアが開き 「ママー」 柚乃ちゃんが抱き付いてきた 「柚乃ちゃん、おはよう」 「柚乃、挨拶は?」 「おはよ」 「すみません…昨日寝る前に 朝起きたら優愛ちゃんが来るよって言ったんで ずっと待ってたんですよ…」 「うれしいな…柚乃ちゃん、待っててくれたの?」 柚乃ちゃんは頷いた 奥から音が聞こえる 「あっ、電話だ…優愛ちゃん入ってて…」 柚乃ちゃんは私の手を引っ張ってる 「ジュースだけ置いて帰りますので…」 中に入ると柚乃ちゃんの食べかけのパンがあった 「柚乃ちゃん、残りも食べようね」 柚乃ちゃんを椅子に座らせ私も隣に座った 雄平さんが電話で話す声が聞こえる 「すみません、もう少しだけ待っててもらえますか 娘を保育所に預けて行くので…あと30分位…」 思わず 「柚乃ちゃんは私が保育所に連れて行きますから 出掛けてください…大丈夫ですよ」 雄平さんは振り返り、申し訳なさそうな顔をして 私に頭を下げた 「じゃ、いまから向かいますから10分後に」 ふぅと息を吐いて 「9時の約束の依頼人がもう事務所の近くに 着いたみたいで…助かります…」 「柚乃ちゃんの用意はそこにあるのですよね? 8時に出ればいいですか?」 「8時~8時半までに… それから今日は20時まで延長をお願いしてください」 「本当は何時まで?」 「18時半までお願いしてます」 「じゃ、私が18時半に迎えに行って預かってます」 「そんな…申し訳ない…」 「私もひとりでご飯食べるだけですから… 雄平さん、もう行かないと… あっ、鍵を預かってもいいですか? 柚乃ちゃん、まだ食事中だから…」 「すみません…マスターキー置いていきますので 本当に助かります…柚乃、お利口にするんだよ じゃ、行ってきます」 「行ってらっしゃい… 柚乃ちゃん、パパのお見送りしよ」 柚乃ちゃんは私の手を取って パパにバイバイした 「さぁ、ご飯食べてジュース飲んで 用意しようね…」
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

89人が本棚に入れています
本棚に追加