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「中野さん…明日入院予定の池田聡子さん
ご主人の都合で8時前に来たいって言ってたわよね」
「ええ…先生のお話も出来ればその時間に…と」
「今日のうちに準備お願いしますね」
「あっ、それでしたら…院長先生が…」
「院長が…?」
「池田さんのご主人とお知り合いのようで…」
「そうだったの…でも、何も聞いてなかったわね…」
「優愛先生が昼食でいらっしゃらなかったので
すみません…私もお伝えしませんでした…」
「きっと、優愛には言っとくよって言われたんでしょ」
「ええ…まぁ…」
「ごめんなさいね…私から言っとくわ」
「院長先生…お忙しい方だから…」
「ありがとう…父を庇ってくれて…」
「優愛先生、お時間ですよ…今日は予定があるって…」
「あっ、いけない…遅れるところだった…
中野さん、ありがとう…じゃ、お疲れさまでした」
「お疲れさまでした」
時計を見ると18時を過ぎている
急いで着替えて病院を出た
保育所には時間前に着けた
「ママ~」
「柚乃ちゃん!」
「お疲れ様です…
柚乃ちゃん、ずっとここで待っていたんですよ」
「でも、まだ時間前ですよね…」
「私がもうすぐママがお迎えに来るねって言ったから」
「そうなんですか…柚乃ちゃん、ごめんね待たせて…」
「おかえり…」
「ただいま…すみません、もう帰ってもいいですか?」
「はい、柚乃ちゃん…また明日ね」
柚乃ちゃんは先生に小さく手を振った
柚乃ちゃんと手を繋いで帰った
「柚乃ちゃん、今日は何をして遊んだのかな?」
「…」
「お外で遊んだ?」
柚乃ちゃんは小さく首を振った
「じゃ、お部屋で絵本読んだかな?」
大きく頷いた
雄平さんが言ってたように
他の子と比べるとあまりお話をしない
このくらいの子は何にでも興味を持って
お話したり泣いたりと賑やかだと
小児科病棟の看護師さんが言っていた
「柚乃ちゃん…
今日は私のお部屋に帰るんだよ…」
柚乃ちゃんの部屋の前を通り過ぎて
私の部屋に入って
「柚乃ちゃん、お外から帰ったら
手を洗ってうがいもしようね」
柚乃ちゃんは私の後について来て
ひとりで手を洗いうがいをした
「ご飯出来るまで好きな本読んで待ってて」
柚乃ちゃんは本棚の前に座りそして1冊本を取って
ソファに座った
「ご飯食べたら一緒に読もうね…」
柚乃ちゃんは嬉しそうに笑った
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