第2章

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「中野さん…明日入院予定の池田聡子さん ご主人の都合で8時前に来たいって言ってたわよね」 「ええ…先生のお話も出来ればその時間に…と」 「今日のうちに準備お願いしますね」 「あっ、それでしたら…院長先生が…」 「院長が…?」 「池田さんのご主人とお知り合いのようで…」 「そうだったの…でも、何も聞いてなかったわね…」 「優愛先生が昼食でいらっしゃらなかったので すみません…私もお伝えしませんでした…」 「きっと、優愛には言っとくよって言われたんでしょ」 「ええ…まぁ…」 「ごめんなさいね…私から言っとくわ」 「院長先生…お忙しい方だから…」 「ありがとう…父を庇ってくれて…」 「優愛先生、お時間ですよ…今日は予定があるって…」 「あっ、いけない…遅れるところだった… 中野さん、ありがとう…じゃ、お疲れさまでした」 「お疲れさまでした」 時計を見ると18時を過ぎている 急いで着替えて病院を出た 保育所には時間前に着けた 「ママ~」 「柚乃ちゃん!」 「お疲れ様です… 柚乃ちゃん、ずっとここで待っていたんですよ」 「でも、まだ時間前ですよね…」 「私がもうすぐママがお迎えに来るねって言ったから」 「そうなんですか…柚乃ちゃん、ごめんね待たせて…」 「おかえり…」 「ただいま…すみません、もう帰ってもいいですか?」 「はい、柚乃ちゃん…また明日ね」 柚乃ちゃんは先生に小さく手を振った 柚乃ちゃんと手を繋いで帰った 「柚乃ちゃん、今日は何をして遊んだのかな?」 「…」 「お外で遊んだ?」 柚乃ちゃんは小さく首を振った 「じゃ、お部屋で絵本読んだかな?」 大きく頷いた 雄平さんが言ってたように 他の子と比べるとあまりお話をしない このくらいの子は何にでも興味を持って お話したり泣いたりと賑やかだと 小児科病棟の看護師さんが言っていた 「柚乃ちゃん… 今日は私のお部屋に帰るんだよ…」 柚乃ちゃんの部屋の前を通り過ぎて 私の部屋に入って 「柚乃ちゃん、お外から帰ったら 手を洗ってうがいもしようね」 柚乃ちゃんは私の後について来て ひとりで手を洗いうがいをした 「ご飯出来るまで好きな本読んで待ってて」 柚乃ちゃんは本棚の前に座りそして1冊本を取って ソファに座った 「ご飯食べたら一緒に読もうね…」 柚乃ちゃんは嬉しそうに笑った
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