第1章

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「あの…どちら様でしょうか?」 「俺がわからない?俺はすぐにわかったよ… 俺のかわいいお姫様」 「マー…モ?」 「久しぶりだね…ゆーあ 相変わらずかわいいな…」 「本当に久しぶりだね…小学生の時以来かな いまは東京?」 「先月、アメリカから帰って来たばかりなんだ」 「アメリカに行ってたのね… おじさまとおばさまはお元気?」 「あぁ…元気にしてるよ 母さんは耀おばさんと連絡取り合ってるみたいだ」 「そうなの… 私は家を出てから忙しくてなかなか帰ってないから」 「母さんがおばさんから聞いたって言ってたな 優愛は仕事の事で頭がいっぱいで 恋愛もしてないって…」 「ママったら…でも、本当の事だけどね…」 「俺と同じだ…でも俺は心の中に 思い続けてる人がいるからだけどな…」 「ロマンチックだね…」 「なに他人事みたいな事言ってんだ…」 「えっ?」 「まぁいいさ…」 「ところで今日はどうしたの?」 「あれっ?院長先生から聞いてないか?」 「ダディ…?」 「ダディか…いいね… 循環器の先生が事故で骨折して困ってるって 耀おばさんから聞いた母さんが 父さんに相談して先生が復帰するまで 俺が手伝う事になったんだ」 「でも…あちらの病院は大丈夫なの?」 「亮おじさんと遥人(はると)がいるから大丈夫さ」 「でも…おじさまもそろそろ引退されるから マーモが病院を見てないと…」 「ゆーあは知らなかったか…… 俺は父さんの本当の子供じゃないんだ だから、あの病院は遥人が継ぐのがいいんだ…」 「マーモ…同じなんだね…」 「…?」 「私も鈴木の子供じゃなかったの… 亡くなったパパの子供じゃなかった… 高校1年の時、留学の為の書類を見て知ったの 大好きなパパの子供じゃないって…」 「圭おじさん…俺も好きだった」 「パパはいちばんキラキラ光るお星さまになるって 言ったから…その日夜空に叫んだの… 何でパパの子供じゃないのーって バカみたいだよね… でもね…ごめんな…ってパパの声が聞こえたの パパは本当にお星さまになって 見ててくれるんだって思えて それからは誰にも何も言ってない 誰が何と言おうが戸籍が違おうが 私はパパの子供だったって思えるから それでいいって思ったの」 「ゆーあは強いな…」 「よく言われる…可愛いげがないって」 「健気でかわいいよ…」
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