第1章

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「ねぇマーモ…明日の夜、空いてる? 久々に実家に帰るんだけど 一緒に行かない?」 「いいのか…久しぶりなんだろ?」 「一緒の方がママが喜ぶわ… じゃ、とりあえず院長室に行きましょう」 「俺は圭おじさんが亡くなった時に会って以来だな」 「そんな前の事、覚えてるの?」 「あぁ…あの頃の事は結構覚えてるんだ」 「私もパパとの事は時々思い出すの… まだ3才くらいだったのに…」 「それだけ好きだったんだよ… 俺のライバルだったからな… ゆーあの事になると 俺をひとりの男としてみて威嚇してきたな ハハハ…いま思い出しても 子供の俺から見ても 子供みたいな憎めない人だった 俺も大好きだった… 俺が医者になったのは 圭おじさんの死がきっかけだったんだ おじさんが亡くなったって 父さんと母さんが話してるの聞いて 俺はおじさんにさよならしたいって 告別式に連れて来てもらったんだ その時初めて人の死 しかも大好きな人の死を目の当たりにして なんで医者はおじさんの病気を 治せなかったんだって 悔しくて…腹がたったんだ そして俺が医者になってどんな病気でも 治してやる!って誓ったんだ まぁ、うちは医者の家系だから そうでなくても医者になったかもしれないけど 俺が医者になろうと思ったのは それが最初だった…」 「私もパパとの最後の約束… パパより強いお医者さんになって 病気をやっつける…って うれしいけど… 優愛が大きくなるまで待てないんだ パパは負けちゃうかもしれないって 悲しかった… まだ小さいからよくわからないはずなのに すごく悲しくて… パパをいじめてる病気を 本当にやっつけたかった… いまだったら… 少しはパパの病気と闘えるのに…」 「俺も同じ気持ちだな…」 「ここが院長室よ…院長、鈴木です」 「入って… どうした?あぁ…真守(まもる)くんか…?」 「ご無沙汰しておりました… 小金沢真守です…お世話になります」 「いやぁ…立派になったね… あの時はまだ幼稚園だったかな 理子ちゃんに似てるね…」 「よく言われます… 院長先生…お願いがあるんですが… ケガされてる先生が復帰されるまでという お話でしたが もう少し勉強させていただけたらと…」 「うちはうれしいけど小金沢さんが何と言うか…」
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