第1章

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「父には伝えてきました… 小金沢病院は弟の遥人に任せたい 私は外で頑張りたいと…」 「そうか…確か翔さんの弟さんが副院長だったね」 「はい、亮おじさんはまだ61ですから あと数年は遥人も一緒に勉強できると思います 遥人はおじさんにかわいがられているので これがいちばんいいと思います」 「立ち入った事を聞くが… 翔さんが実の父親ではないから… 身を引くのかな…」 「……それも理由のひとつではあります…」 「そうか…優愛…お前と同じだな…」 「ダディ…」 「お前もそうだろ…鈴木の血縁じゃないからって 一歩引くところがあるよな…」 「院長先生… 俺たちは決して卑屈になっている訳でも 遠慮してる訳でもありません 誤解しないでください」 「わかっているよ… ただ…俺は優愛がいちばん 病院経営に向いてると思ってるんだよ だけど頑なに… きっと翔さんも同じような思いが あるんじゃないかと思ってな… まぁ… いますぐ決めなきゃいけない事でもないだろう とりあえずはここで頑張ってみてくれ 翔さんとも話してみるよ… 真守くんの好きにするといい… 早速だけど、今日は坂井先生と引き継ぎをして 明日から俺と一緒に現場に出てもらおうかな 今日の夜は坂井先生の奥さんがやってる小料理屋で 食事をするから空けててくれないか」 「はい…」 「ダディ…明日の夜は予定を入れないで… 一緒に帰るから…」 「そうか…それはいいな…耀が喜ぶ… 真守くんにも会いたがってたからな」 「耀おばさんに最後に会ったのは 中学の時ですから… 母とはしょっちゅう連絡は取ってるようですが」 「そうだな…耀も母親が亡くなって… 寂しくなると理子ちゃんと話してるみたいだ 理子ちゃんは孫を見てるんだろう?」 「えぇ…遥人は大学卒業してすぐ結婚して 子供が生まれたので…いま2才かな…」 「優愛、ママはうらやましいって言ってたぞ 若いおばあちゃんに憧れるって」 「私は無理ね…カナくんは彼女がいるんでしょ もうすぐママもおばあちゃんになれるんじゃない?」
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