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そして…
それから…
十年の月日が流れました…。
ジジは…
すっかり歳をとり、杖をついた老人となっていました。
それと同様に…
やはり老人となったマイケルは…
去年、病気でこの世を去りました…。
今…村人達の病気は、ジジが祈祷と医学の両方を使い分けて治療しています。
(時々、マイケルの様な『漂流者』も島に流れ着いたりします。その者の治療もジジは行っています)
今のジジには…
先祖代々、受け継いだ祈祷師としての技術の他に…
マイケルから学んだ最先端の医学と薬学の知識が有ったのです。
さて。
ジジの息子、パコは、といえば…
立派な青年へと成長し、
父のジジの跡を継いで新しい村長となる為、ジジから様々な技術や知識を教わる毎日でした。
ところで…
ジジは、今でも時折…
マイケルが亡くなる直前に、涙ながらに語った言葉を思い出します。
「私が昔、住んでいた島は…それは、ひどい所だった…。
人が人をだまし…憎み…殺し…命がとても粗末に扱われてた…。
私も医者でありながら、命の重さが分からず…
いや!分かろうともせずに、何人もの人間を殺してしまった…。
あの時の私は…まさに『悪魔』だった…。
『悪霊』が、とりついたんだと、自分の身勝手な都合で思い込もうとした……。
そして、私は…あの島から逃げた……。
だから『時間を巻き戻す力』なんて欲しくない。
あの頃の悪魔の様な自分には、戻りたくないんだ…。
だから、私はジジ達が言う様な神様なんかじゃないんだ……」
ジジはマイケルのあの言葉を思い出す度に
心の中がいろいろな思いでいっぱいになるのでした…。
「…マイケル………」
マイケル・オストログ
1880年代後半のイギリス・グレートブリテン島の都市、ロンドンにて医師として生計を立てる。
彼の晩年の消息は不明。
当時、ロンドン市民が彼に付けた別の名前…
その名前は…
『切り裂きジャック』…。
~END~
・この物語は作者が考えたフィクションです。
・切り裂きジャックの手により、不幸にもこの世を去ってしまった皆様のご冥福を心よりお祈り致します。
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