【欲しくない力】

2/6
前へ
/6ページ
次へ
もしも… 時間を巻き戻す力、人の心が読める力、他人を操れる力、どれか一つを手に入れるとしたら…。 昔々… 辺境のとある小さな島に、小さな村が有りました。 魚を捕ったり木の実を採ったりの自給自足生活で、定期船も来ない小さな島の小さな村です。 村人達は、心が優しく争いの無い平和な日々を送っていました。 そんな、ある日の事。 ある村人が浜辺に倒れている一人の男を発見しました。 その男の服はボロボロで、肌や髪の色は村人達とは違っていました。 大きな黒い鞄を抱えて気を失っています。 慌てた村人は村から人を呼び、皆で男を村長の家に連れて行きました。 村の村長は名前を『ジジ』といい 村人達から慕われている心優しき人物でした。 「おい。大丈夫か?」 ジジの問い掛けに男は朦朧(もうろう)と答えます。 「…☆…§★∞〇…」 どうやら…言葉が通じないようです。 とりあえず、ジジの家で看病する事になり、 ジジは三日三晩、男に食事を与え、海の神に祈りを捧げ男の回復を願い続けました。 ジジは、 村長であると同時に村一番の祈祷師(きとうし)でもあったのです。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加