水場の恐怖

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早速動き出した私たちは、このときまだ呑気に喋りながらドラクエのように冒険ゲームだとしか思っていなかった。 現に今も隊列は縦一列だし。ただ、問題は友香が一番後ろにいること。 「なんで盾持ったゆーが後ろにいるのよ!?」 「だってぇ、怖いじゃん」 「守りなさいよ!」 「まぁまぁ、喧嘩しなさんなって。じゃあ夏は攻撃力あるし、友香は盾持ってるから前。俺は攻撃速度遅いし、亜美は後ろから来られても大丈夫なようにってことで、後ろって陣形にしようか」 「うー、それならいいよぉ…?」 こういうとき、颯馬は役に立つ。まとめ役にぴったりなのだ。 「じゃあ、行こうか」 「「はーい」」 ちゃんと隊型も決まり、歩き出すと目の前には井戸があった。颯馬が井戸を覗こうとしたその瞬間、 颯馬の横が抉れた。 「なっ!」「うわっ」「きゃっ」「…」 「おっかしいなぁ、ちゃんと狙ったんだけどな」 「下手くそだなぁー」 「うっせぇなぁ、次は当てるよ」 敵は今も次弾を装填しようとしている。 「夏!レーザー!友香は盾でみんな守れ!亜美はまだ待機!」 そう言いながら颯馬は矢をつがえる。 私は待機と言われたので、友香の横で一緒に盾を持つ。 すると気付いた。友香が小刻みに震えていることに。 私は友香の手を握り、落ち着かせようと努力する。 その間に夏と颯馬が敵を2人、倒した。 敵の血が…生々しく滴る。 私と友香には、それが辛かった。
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