時間を巻く

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「なぁ。僕さぁ、時間を巻き戻せるみたいだ」  前の席に座るクラスメイトの安達が、振り向いたと思ったら、突然、真顔でそんな事を言い出した。  俺とコイツとは席こそ前後だが、あまり会話をした事がない。  俺はどちらかっっていうと、クラスの中心的な奴らとバカ騒ぎするタイプで、勉強よりもスポーツの方が得意だし、安達はグラウンドでサッカーをするより、図書館で本を読む事を好むようなガリ勉タイプ。  仲のいい友人も違えば、性格だって真反対。  単なるクラスメイトとしてしか接点の無い俺に、いきなり何を言い出すんだ?  唖然としたまま、どう返答すればよいのかも分からず、目を丸くしたまま彼を見つめていると、再び、「時間を巻き戻せるんだよ」と、低い声で言った。
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