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「いいか。この時計の針をよぉく見ていろよ?」
手品でも始めるのかという雰囲気と、彼の睨みつけるような視線の強さにのまれ、ゴクリと生唾を飲む。
彼は、ゆっくりと、リューズを少し回した。
大きな針が時計回りとは反対方向へと針を後退させていく。
これから一体、何が起きるんだ?
もしかしたら、コイツは、本当に時間を巻き戻せるというのか?
ドッドッドッドと鼓動が早くなっていくのが自分でも分かる。
これは彼の悪戯、これは彼の演技だと頭では分かっていても、この後起こるかもしれない不思議な現象を期待しているようだ。
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