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彼女は再び、俺の顔を見つめてから答えた。
「……ごめんなさい。何でもないわ。今のは忘れて。それに、「言葉」があるわ。
確かに、人の心を読む能力……読心術が出来ればいいな……と思う事もあるけど……「言葉」という、心そのものじゃないモノで、心の事を表現する事って『人間』として大切なことだと思うのよ。
「言葉」って、真意が完全には読み取れないところがむしろ、趣深いと思わない?」
確かに。一理ある考えだと思った。
そして、彼女は更に言葉を続けた。
「それに、読心術に限らず『不可能』が必ずしも『可能』に劣るとは……限らないでしょう?」
……それは、よく分からない。単なる言葉遊びのように感じられる。
「そのうち分かるわ。」
そう言う彼女の笑顔には、何もかも、俺の心までも、見透かしているような不気味な妖艶さがあった……。
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