駆け出しの記憶

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五分かそこら歩いただろうか。 見上げると左手に大きな城がたっていた。 森の中にひっそりと隠れるように建っているソレは、なんとなく魔女のようなものを連想させるのは簡単だった。 人気もないこの森で他に頼れるものなんざないわけで。 藁をもつかむつもりで尋ねてみることにした。 ────── 暗い外見から想像出来ないほど中は明るく、ファンシーな家具ばかりだった。 「あのー... だれか、居ませんか?」 何となく、声をかけてみる。 礼儀からすれば当然なのだが此処はいらないような気がした。 「はいはーいここですよーっと」 高く、可愛らしい声が部屋に響く。 「やぁっときた。おっそいなー徹守君?」 やっと、って事は俺が来ることを知っていたのか。 「...誰ですか。何で、俺の名前を」 「ま、知らないクソババアなんかが自分の名前言われたら怖いよねー」 「いや、クソババアとは言ってないし、逆に可愛いし...アンタ、誰」 「その"可愛い子"に対して態度最悪じゃあない?モテいよ?」 「余計なお世話。それより誰。」 「最初の敬語はどこいった.. ま、とりあえず私の名前は島崎アイカ[シマサキアイカ] 異能の力を持つ者の指導者的存在」 「指導者的、存在 ...」...」
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