駆け出しの記憶

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食べたんだ。 その子の、慈良優タ[シラユウタ]の、薬指を。 あの頃に戻りたい、と願いながら。 叶う気がした。 今なら、妖精が助けてくれそうな気がしたんだ。 ...何も起こらなかったけれど。 そのまま数日が過ぎ、久々に外に出るとある異変があった。 ある人達の、右目だけ、色が変わってるんだ。 よくよく考えてみるとそれは、異能の力の人達で。 ガラスに映った自分の右目も同様、色が、変わっていた。 それはつまり、自分に異能の力があることを示してるわけで。 なんとなく怖くなった。 なんで、なんで、と心の中で復唱しながら無我夢中に走った。 走った理由はわからない。 ただ、なんとなく走りたくなった。 気付いたら森の中にいて帰り道がわからなくなっていた。 しまったと思っても遅い。 仕方なく、散策し始めた。
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