第1章

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(あー、くっそ、また横入りかよ!)  初冬と呼ばれる季節に入り、ぐっと冷え込んできた平日夜の8時すぎ。  JR日暮里駅の山手線と京浜東北線の内回りホームから伸びている、 北口エスカレーター前は両方の電車がほぼ同時に到着したことにより、 人の流れがかなりめちゃくちゃになっている。  それでも東京には暗黙の了解として、 エスカレーターの右レーンは階段のように登っていく人用、 左レーンは止まって乗る人用に分けられている。  だから通常は、わざわざ階段を避けてまでエスカレーターで 止まって上りたい人は左レーンに大人しく列を作って、 自分が乗れるまでしずしずと進行していくのだ。
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