揺蕩う季節

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掃除も終わりカウンターに座ると裏庭が見えた。 「そういえば、あの温室って何を栽培してるんですか?」 裏庭では草木の栽培をしている。 研究用に使ったり、ハーブウォーターを蒸留したり、食用にしたりするためだ。 その裏庭の一画には、小さいながらもちゃんとした温室がある。 裏庭の手入れは僕の仕事になりつつあるのだが、まだ温室に足を踏み入れた事はなかった。 庭仕事をするようになってガーデニングの魅力に目覚め始めた僕はずっと温室の中が気になっていたのだ。 「ああ、あの中は私の趣味で栽培している。君の手を煩わせる事はないよ」 「趣味?ガーデニングが?」 「まさか。それなら君を雇ってないさ。違うと分かっていながら聞くなんて君は案外意地悪だな」 そう言って馨瑠さんはクククッと笑った。 「今日はもう日が暮れてしまったから、気になるならそのうち中を案内するよ」 摘みたてのハーブティーをご馳走になり、僕は家路についた。
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